モダニズム(modernism)は、19世紀末から20世紀半ばにかけて、美術、建築、デザイン、文学、音楽などで起きた、伝統の様式から離れて新しい時代にふさわしい表現を求める動きの総称である。近代主義とも訳され、特定の流派の名前ではなく、多くの運動を束ねる広い呼び名として使われる。
背景にあったのは、産業化と都市化による暮らしの急激な変化だった。鉄とガラスと鉄筋コンクリート、機械による大量生産、写真や映画といった新しい媒体が現れ、過去の様式をなぞるだけでは、この時代を表せないという感覚が広がった。
美術では、印象派のあとに現れたキュビスム、未来派、抽象絵画などが、目に見える世界を写すという約束を次々に崩していった。デザインと建築では、装飾を罪悪とまで言い切ったアドルフ・ロースの論考や、1919年に開校したバウハウスの教育を経て、機能と素材に忠実な形をよしとする考え方が主流になる。グリッドに沿った紙面、サンセリフ体、白い壁と平らな屋根、鋼管の椅子は、その考え方から生まれた典型的な姿である。
モダニズムの根には、合理的な形は誰にとっても役に立つという普遍主義と、よりよい社会をつくれるという楽観があった。第二次世界大戦後、その理念は国際的な建築様式や企業のデザインとして世界に広まる一方で、画一的で人間味がない、土地の文化を無視しているといった批判も受ける。1970年代から語られるようになったポストモダンは、その反動として、装飾や歴史の引用、遊びを取り戻そうとした。
それでも、余計なものを削り、機能を形として見せるという原則は、家具やプロダクト、画面のデザインの基本として生き続けている。
装飾を削っていった100年の流れは引き算のデザイン史でたどった。工業製品の出発点はペーター・ベーレンスのAEG電気ポット、住宅はヴィラ・サヴォアが変えた住宅の未来、戦後の家具はイームズ・ラウンジチェアで読める。