用語解説

コンセプチュアルアート

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コンセプチュアルアート(Conceptual Art)は、1960年代後半から70年代にかけて欧米を中心に広がった、物としての出来栄えよりも、作品を成り立たせる考えや言葉、手順を作品の本体とみなす美術の動向である。コンセプチュアル・アート、概念芸術とも呼ばれる。

名前の来歴をたどると、1961年にフルクサスのヘンリー・フリントが自作のパフォーマンスをコンセプト・アートと呼んだ例がある。ただ、運動を指す言葉として広めたのは、ソル・ルウィットが1967年に『アートフォーラム』誌へ寄せた「コンセプチュアル・アートに関する断章」だった。ルウィットはそこで、計画と決定をすべて先に済ませてしまえば、制作は手順をこなすだけの作業になると論じた。実際に彼は壁画を指示書の形で残し、描く作業は他人に任せている。

代表例としてよく挙がるのが、ジョセフ・コスースの《1つと3つの椅子》(1965年)である。本物の椅子、その椅子の写真、辞書に載った椅子の定義を並べ、どれが椅子なのかを見る人に考えさせる。作品は指示書や文書、写真による記録、ときには言葉だけでも成立するようになり、美術館の壁に掛けて売買される物という美術のあり方そのものが問い直された。日本では松澤宥が、60年代から文字だけで構想を示す作品を発表していた。

源流としてしばしば名が挙がるのは、マルセル・デュシャンが1917年に出品した既製の小便器《泉》である。同じ60年代のミニマリズムとも地続きで、ルウィットのように両方にまたがる作家も多い。

運動としての最盛期は70年代までだが、考えを作品の中心に置くやり方は、その後の現代アートでは当たり前の前提になった。観客が持ち帰るにつれて減っていくキャンディの山や、展示のたびに指示書から組み立て直されるインスタレーションは、その延長線上にある。

ことばだけの絵画にいたる系譜はマグリット「これはパイプではない」で、その出発点にあるレディメイドはデュシャンの「手口」全集で取り上げた。減っていく作品についてはフェリックス・ゴンザレス゠トレスの「消去」で読める。