情報デザインは、数値や地理、手順や危険といった情報を、図表や地図、記号、サインに置き換え、見る人が素早く正しく理解できるようにする設計と、その歴史を扱うテーマである。インフォグラフィックやピクトグラム、路線図、標識、バーコードのような仕組みまで含む。
数字を図にする試みは18世紀末に本格化する。1786年、ウィリアム・プレイフェアは折れ線グラフと棒グラフで経済の動きを示し、のちに円グラフも発表した。19世紀にはフンボルトが山の断面に植物の分布を描き込み、ナイチンゲールは戦地の病院で死者の多くが防げる病によるものだったことを、扇形の図で訴えた。20世紀に入ると、1933年に配られたハリー・ベックのロンドン地下鉄路線図が、距離を捨てて駅のつながりだけを示す図法を広め、街には誰もが一目で読める記号が増えていく。
日本では1964年の東京オリンピックをきっかけに、言葉が通じなくても意味が伝わる施設案内のピクトグラムが体系的につくられた。障害や言語の違いを問わず同じように読めるかを問うユニバーサルデザインの考え方も、この分野と重なり合っている。
このタグの記事は、情報を図に変える手法そのものより、その図が誰のどんな問題を解こうとしたのかに重きを置いている。
統計図表の誕生はプレイフェアが発明した折れ線・棒・円グラフで、図で人を動かした例はナイチンゲールのローズ・ダイアグラムで取り上げた。路線図の革命はハリー・ベックのロンドン地下鉄路線図で、街の安全を支える記号と装置は「見えないデザイン」の巨人たちで読める。