グラフィックデザイン史は、ポスターや広告、ロゴ、本、映画のタイトルなど、印刷物や画面を通して情報とイメージを伝えるデザインがたどってきた歴史である。誰が何のためにつくり、どんな技術で刷られ、どう受け取られたかまでを含む。
19世紀後半、多色刷りの石版印刷が街頭に色鮮やかな広告ポスターをもたらした。20世紀前半には、ロシア構成主義やバウハウスの前衛が、写真と活字と幾何学的な形を組み合わせる新しい紙面をつくり出す。1950年代にはスイスでグリッドとサンセリフ体による客観的な様式が確立し、企業のロゴやサイン計画を通じて世界に広がった。同じころ、アメリカでは映画のタイトルが一つの作品として扱われるようになり、日本では戦後のデザイナーたちが、ポスターや本の仕事で独自の表現を切り開いていく。
道具の変化も歴史を大きく動かした。写真製版によって写真が紙面の主役になり、1980年代にパソコンで組版ができるようになると、文字と画像を一人で自在に扱えるようになった。いまでは画面の上で動くロゴやインターフェイスまでが、この分野の対象に入っている。
このタグには、時代を画した作品や一人のデザイナーの仕事を入口に、その手法がどこから来てどこへ受け継がれたかを追う記事を集めている。
映画の冒頭をデザインの舞台にした仕事はソール・バスのタイトルシーケンスで、1960年代の日本から出た衝撃は横尾忠則と放射光で取り上げた。杉浦康平の三次元造本術は本の設計を、NASA「ワーム」ロゴは一つのロゴが消えて復活するまでを追っている。