用語解説

コーポレートアイデンティティ

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コーポレートアイデンティティ(Corporate Identity)は、企業が自らの理念や性格を、ロゴ、色、書体、製品、建物、広告などの見え方をそろえることで社内外に示す仕組みである。略してCIと呼ばれることが多い。

原型としてよく挙げられるのが、1907年にドイツの電機会社AEGが、画家で建築家のペーター・ベーレンスを芸術顧問に迎えた例だ。ベーレンスはロゴや広告、カタログ、電気製品、さらにタービン工場の建物まで、一社の見え方をまとめて設計した。当時はまだ名前のなかったこの取り組みが、のちに最初のコーポレートアイデンティティと評されるようになる。

言葉が生まれたのは戦後のアメリカで、1950年代半ばにデザイン会社リッピンコット&マーギュリーズのゴードン・リッピンコットが、社名、ロゴ、広告、パッケージを一体で扱う自社の仕事をこう呼んだとされる。同じころ、イタリアのタイプライター会社オリベッティや、1956年にエリオット・ノイズとポール・ランドを迎えたIBMが、製品から印刷物までを一貫して設計する手本を示した。

CIを現場で動かすのは規格書である。ロゴの最小サイズや周囲の余白、使ってよい色の値、書体の組み方を一冊に定め、誰がどこで作っても同じ見え方になるようにする。1975年にダン&ブラックバーンがNASAのためにまとめたグラフィックスタンダードマニュアルは、その代表例としていまも参照されている。

日本では1968年に中西元男がデザイン会社PAOSを設立し、1975年にはマツダがCIの導入を始めた。1980年代から90年代にかけてはCIブームと呼ばれるほど導入が相次いだが、マークを新しくしただけで終わった例も多い。日本では理念(MI)、行動(BI)、視覚(VI)の三層で説明されることが多く、見た目だけの話ではないという考え方が根強い。近年はブランドアイデンティティという言い方も広がっている。

一社の見え方を統一した最初の試みはペーター・ベーレンスのAEG電気ポットで、規格書ごと美術館に収蔵されたNASAのロゴはNASA「ワーム」ロゴで取り上げた。35ドルのスウッシュから巨額のリニューアルまで、ロゴに払われた値段の変遷はロゴの請求書に詳しい。