用語解説

インスタレーション

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インスタレーション(installation)は、作品を一点ずつ並べて見せるのではなく、展示空間そのものを素材や光、音、映像で組み立て、観客がその中に入ったり歩き回ったりして体験する美術の形式である。インスタレーション・アートとも呼ばれる。

彫刻や絵画との違いは、個々の作品の陳列ではなく、空間全体が一つのまとまった体験として設計される点にある。部屋いっぱいに広がって観客が通り抜けるものもあれば、入口からのぞくことしかできないものもある。特定の場所のためにつくられ、会期が終われば解体されることも多い。持ち運べる絵や彫刻と違い、置かれた場所との関係までが作品の一部になる。

先駆けとしてよく挙がるのは、1923年のベルリンの展覧会でエル・リシツキーが一室の壁と床に幾何学的な形を配したプロウンの部屋と、クルト・シュヴィッタースが1920年代から30年代にかけてハノーファーの自宅の部屋に木片やがらくたを積み上げていったメルツバウである。マルセル・デュシャンも、展覧会の会場全体を作品のように仕立てることがあった。

1950年代の終わりには、アメリカのアラン・カプローが、室内をまるごとつくり変える自作を環境(エンバイロメント)と呼び、観客を巻き込むハプニングへと展開する。60年代以降、空間を扱う作品は現代美術の大きな流れの一つになり、コンセプチュアルアートが再び注目された90年代からはさらに増えた。

いまでは、照明や映像、デジタル技術を使った没入型の展示から、記念館や博物館の空間に組み込まれた作品、観客が持ち帰ることで形が変わっていく作品まで、その幅はきわめて広い。会場での体験が写真や動画でSNSに広まることも、近年の展示のつくり方を変えている。

観客が持ち帰るにつれて減っていく作品はフェリックス・ゴンザレス゠トレスの「消去」で、建築の空間に置かれた鉄の顔のインスタレーションはユダヤ博物館ベルリンで取り上げた。