黄金比(golden ratio)は、線分を二つに分けたとき、全体と長い部分の比が長い部分と短い部分の比に等しくなる比率で、およそ1:1.618である。黄金分割とも呼ばれ、ギリシャ文字のφ(ファイ)で表すことが多い。
最初に書き記したのは、紀元前300年ごろのユークリッドの『原論』である。そこでは外中比による分割として定義され、正五角形を作図するための道具にすぎなかった。この比に神学的な意味を与えたのが、1509年にヴェネツィアで出版されたルカ・パチョーリの『神聖比例論』で、挿絵の多面体はレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた。黄金の名が付くのはさらに後で、1835年にドイツの数学者マルティン・オームが教科書の脚注に記したのが、確認できる最初の例とされる。
隣り合うフィボナッチ数の比、たとえば5:8や8:13は黄金比に近づいていく。この性質もあって、書物の判型や版面の設計、ル・コルビュジエが人体の寸法から組み立てた尺度モデュロールなど、比率を手がかりにする設計の場面でたびたび参照されてきた。
ただし、パルテノン神殿やピラミッドに黄金比が意図して使われたという話の多くは、後世の測り方しだいで出てくる数字だと数学者から指摘されている。美の普遍法則というより、設計者が選びうる有力な比率のひとつと見るほうが実態に近い。
名前の由来と、パチョーリとダ・ヴィンチの協働は黄金比の発見者は誰かに詳しい。本のページ設計への応用はページは比率で決まるで、ロゴの説明資料にまで黄金比が持ち出された例はロゴの請求書で読める。