ウィリアム・モリス

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ウィリアム・モリス(William Morris、1834–1896)は、イギリスのデザイナー、詩人、思想家で、アーツ・アンド・クラフツ運動の中心人物である。壁紙や織物の図案から書物の制作まで、暮らしの道具を手仕事の美しさで作り直そうとした。

ロンドン近郊ウォルサムストウの裕福な家庭に生まれ、オックスフォード大学で生涯の友となる画家エドワード・バーン=ジョーンズと出会った。批評家ジョン・ラスキンの著作からは、中世の職人の仕事に労働の喜びを見る考えを受け継いでいる。1860年、結婚を機に建築家フィリップ・ウェッブの設計したレッド・ハウスに移り住むが、気に入る家具が市販品に一つもないことに気づく。翌1861年に仲間と装飾美術の会社を興し、のちのモリス商会として壁紙、織物、ステンドグラス、家具を手がけた。

最初の壁紙《トレリス》は1862年に描かれ、1864年に世に出た。植物や鳥のモチーフを平らに様式化し、図と地が入れ替わるほど画面を埋める図案は、背景に過ぎなかった壁紙を室内の主役に変えた。天然染料にもこだわり、織物《いちご泥棒》(1883年)では、手間のかかる藍の抜染で模様を染め出している。

晩年は書物に向かい、1891年にケルムスコット・プレスを設立して、活字の設計から紙、製本までを自ら手がけた。1896年に刊行した『チョーサー作品集』はその到達点とされる。社会主義者として講演や著述も続け、美しいものをすべての人のものにしようとしたが、手仕事の品は高価で、買えたのは一部の富裕層に限られた。

図と地を逆転させた壁紙の仕事は壁紙革命のウィリアム・モリスで、ケルムスコット・プレスの周辺から生まれた書体の運命はテムズ川に沈んだ書体で読める。