用語解説

浮世絵

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浮世絵は、江戸時代に生まれた風俗画の一様式で、とくに多色摺りの木版画を指すことが多い。浮世とは当世風の世の中を意味し、遊里や芝居、名所、流行の装いなど、同時代の暮らしと娯楽を主題にした。

肉筆の作品もあるが、浮世絵を広めたのは版画である。版元が企画を立て、絵師が下絵を描き、彫師が版木を彫り、摺師が色ごとに版を重ねて摺る。この分業によって、絵は大量に、安く出回った。17世紀後半に菱川師宣が墨一色の版画で人気を集め、1760年代には鈴木春信らが多色摺りの錦絵を完成させる。主題も美人画や役者絵から風景へと広がり、1830年代には葛飾北斎の《冨嶽三十六景》や歌川広重の《東海道五拾三次》が出た。北斎の連作では、輸入された合成顔料のプルシアンブルー(ベロ藍)が、鮮やかな空と水を描き出している。

造形の特徴は、輪郭線と平らな色面、大胆な切り取り、手前と奥の極端な対比にある。19世紀後半に日本の美術品がヨーロッパへ渡ると、この平面的な画面はジャポニスムと呼ばれる流行を生み、モネやゴッホ、トゥールーズ=ロートレックらが影響を受けた。1867年のパリ万国博覧会に日本が初めて公式に参加したことが、その大きなきっかけになった。

輪郭と色面で画面を組み立てる考え方が、ポスターを経て現代のフラットデザインに届くまでの流れは、浮世絵がフラットデザインを生んだでたどった。モネが広重の絵から写した太鼓橋はモネの『さかさま絵画』に、明治の画家が浮世絵と西洋画法を混ぜ合わせた例は小林永濯の革新に出てくる。