用語解説

サンセリフ体

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サンセリフ体(sans-serif)は、文字の線の端にセリフと呼ばれる小さな突起の飾りを持たない欧文書体の総称である。サンはフランス語で「〜のない」を意味し、英国ではグロテスク、米国ではゴシックとも呼ばれてきた。和文書体ではゴシック体がこれに当たる。

印刷用の活字として最初のサンセリフとされるのは、1816年にロンドンのウィリアム・キャズロン4世の鋳造所が見本帳に載せた、大文字だけの書体である。すぐには広まらなかったが、1830年代にはほかの鋳造所も広告や見出し向けの太いサンセリフを出し、そのうちの一社ウィリアム・ソローグッドがこの種の書体をグロテスクと名づけた。当時の目には奇妙に映ったのだろう。

本文にも使える書体として地位を得るのは20世紀である。1898年にベルリンのベルトルト社がアクツィデンツ・グロテスクを出し、1916年にはエドワード・ジョンストンがロンドン地下鉄のための書体をまとめた。1927年のパウル・レナーのFuturaは円と直線で文字を組み立て、翌1928年、ヤン・チヒョルトは『ニュー・タイポグラフィ』で、装飾のないサンセリフこそ時代にふさわしいと説いた。1957年にスイスで生まれたヘルベチカは、スイス・スタイルとともに世界中の標識や企業ロゴに広がっていく。

形の系統で分けると、19世紀の素朴なグロテスク、それを均質に整えたヘルベチカのようなネオ・グロテスク、幾何学的なFuturaの系統、手書きの骨格を残したジョンストンのような人文主義系に大別される。画面の時代になると、粗い画素でも形が崩れにくいことから、パソコンやスマートフォンの標準書体の多くがサンセリフになった。

世界標準になった書体の成り立ちはヘルベチカ(Helvetica)とFutura(フーツラ)で、サンセリフを柱に据えた様式はスイス・スタイルとはでたどった。書体の発売年が文書の偽造を暴いた事件は書体が首相を倒した日で読める。