用語解説

未来派

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未来派(Futurism)は、1909年にイタリアの詩人フィリッポ・トンマーゾ・マリネッティが始めた、機械と速度と都市のエネルギーを新しい美として称えた芸術運動である。未来主義、フトゥリズモとも呼ばれる。

マリネッティの『未来派宣言』は、同年2月20日にパリの新聞『ル・フィガロ』の一面に載った。宣言は美術館を墓場になぞらえて過去の文化を退け、疾走する自動車は古代彫刻より美しいと言い切った。遺跡と古典の重みを背負うイタリアだったからこそ、過去との断絶は激しい言葉になった。

翌1910年には、ウンベルト・ボッチョーニ、カルロ・カッラ、ジャコモ・バッラ、ルイジ・ルッソロ、ジーノ・セヴェリーニらが画家の宣言を出す。彼らは動く物の輪郭を時間差で重ね、走る犬の脚や車の速さを一枚の画面に描き込んだ。ボッチョーニは1913年の彫刻《空間における連続性の唯一の形態》で歩く人体を風を切る形そのものに変え、ルッソロは同じ年に騒音を音楽の素材とする「騒音の芸術」を唱えた。

運動は戦争を賛美し、イタリアの参戦を後押ししたが、ボッチョーニと建築家アントニオ・サンテリアは1916年に従軍中に命を落とす。戦後のマリネッティはファシズムに接近し、そのことが長く評価を曇らせた。それでも、宣言という形式、大小の活字を紙面に散らす組版、速度を線で表す表現は、ロシアの未来派、英国のヴォーティシズム、ダダ、1920〜30年代のアール・デコのポスターへと受け継がれていった。

宣言の舞台裏からボッチョーニの彫刻、カッサンドルやレイモンド・ローウィの流線形までの全体像は未来派と速度の美学でたどった。動きを写す写真の実験が未来派から締め出された一件は動きを止めて描く5つの方法に詳しい。