用語解説

アーツ・アンド・クラフツ運動

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アーツ・アンド・クラフツ運動(Arts and Crafts Movement)は、19世紀後半のイギリスで始まり、産業革命がもたらした粗悪な量産品に対して、手仕事による誠実なものづくりと、暮らしの中の美を取り戻そうとしたデザインの運動である。美術工芸運動とも呼ばれる。

思想の土台を用意したのは批評家ジョン・ラスキンで、中世の職人の働き方に、労働の喜びと誠実な仕事の手本を見た。これを実践に移したのがウィリアム・モリスである。1861年、モリスは画家エドワード・バーン=ジョーンズや建築家フィリップ・ウェッブらと装飾美術の会社を興し、壁紙、織物、ステンドグラス、家具を自分たちの手で設計し、作った。会社は1875年にモリス商会へ改組される。運動名は1887年、製本家トマス・ジェイムズ・コブデン=サンダーソンが、翌年発足する展覧会協会の名称として提案したことに由来する。

特徴は、素材の性質を生かし、作り方を隠さないこと、そして植物や鳥などの自然のモチーフを平らに様式化して用いることにある。背景には、1851年のロンドン万国博覧会に並んだ、過剰で模倣的な装飾への反発があった。1891年にモリスが始めたケルムスコット・プレスは、活字から紙、製本までを工芸として作り直し、私家版印刷の流れを生んだ。

ただし、手仕事で作られた品は高価で、モリスの理想とは裏腹に、買えたのは一部の富裕層に限られた。この矛盾は、機械生産を受け入れながら質を求めたドイツ工作連盟(1907年)や、のちのバウハウスへと引き継がれる問いになった。運動はアメリカやヨーロッパ各地のアール・ヌーヴォーにも影響を与え、日本では柳宗悦らの民藝運動と比べて語られることが多い。

モリスの壁紙が図と地の関係をどう逆転させたかは壁紙革命のウィリアム・モリスで、ケルムスコット・プレスの周辺から生まれた書体がテムズ川に沈められた顛末はテムズ川に沈んだ書体で読める。