カジミール・マレーヴィチ

タグ

カジミール・マレーヴィチ(Kazimir Malevich、1879–1935)は、ウクライナ生まれのロシア・アヴァンギャルドの画家で、幾何学的な抽象絵画の運動シュプレマティスムの創始者である。

キーウ(キエフ)のポーランド系の家庭に生まれ、民衆芸術や正教のイコンに囲まれて育った。モスクワに出て印象派風の風景画から始め、キュビスムと未来派を経て、1915年12月、ペトログラードの「最後の未来派絵画展 0,10」に《黒い正方形》を出品する。イコンを掛ける部屋の上隅に掲げられた黒い四角は、具象を捨てた絵画のゼロ地点の宣言だった。

1918年ごろには《白の上の白》で、白地に傾いた白い正方形を置くところまで進む。1919年からはヴィテプスクの美術学校で教え、エル・リシツキーらと集団ウノヴィスを結成した。図形を立体に組んだ建築模型アルヒテクトンも手がけ、1927年には著書『無対象の世界』がバウハウス叢書の一冊としてドイツで刊行されている。

1920年代末からは、ソ連で前衛芸術への締めつけが強まるなか、農民を描く具象画へ戻った。1930年には一時拘束されている。1935年にレニングラードで亡くなると、棺にはシュプレマティスムの図形が描かれ、墓標には黒い正方形が掲げられた。

《黒い正方形》が生まれた展示とその後の100年はマレーヴィチ「黒い正方形」とは何かで、《白の上の白》を遠い祖先にもつビートルズの白いジャケットはホワイト・アルバムの「充実した白」で取り上げた。