グリッドシステム(grid system)は、紙面や画面を縦横の等間隔の線で区切り、文字や写真をその升目に沿って配置するレイアウトの方法である。グリッドレイアウトとも呼ばれる。
ページの配置を比率で決める考え方は古く、中世の写本や初期の活版印刷本にも、余白と本文の比率を定める決まりがあったとされる。現代的なグリッドシステムの形が整うのは1950年代のスイスである。バーゼルとチューリッヒのデザイナーたちは、言葉も文化も違う読者に情報を正確に届けるため、サンセリフ体と客観的な写真を、数学的に割り付けた升目の上に並べた。1958年にはヨゼフ・ミューラー=ブロックマンらがドイツ語・英語・フランス語の三か国語誌『ノイエ・グラフィーク』を創刊し、その方法を国外へ広める。
ミューラー=ブロックマンが1981年に出した『Grid Systems in Graphic Design』は、8分割から32分割までの具体的な組み方を示し、いまも教科書として読まれている。カール・ゲルストナーは1964年の『Designing Programmes』で、グリッドを決まった答えではなく、答えを生み出すための規則として捉え直した。
グリッドの利点は、配置の根拠を感覚ではなく比率に置けることにある。複数のページや媒体で見え方をそろえやすく、複数の人が同じ規則で作業できる。一方で、升目は並べたものを均質な単位に変えてしまう。同じ顔を格子状に反復したウォーホルの作品が示すように、グリッドは秩序と同時に、個々の違いを消す力も持っている。
ウェブでは、画面幅に応じて列の数を変えるレスポンシブデザインの12列グリッドや、CSSのグリッドレイアウトとして、この方法が日常の道具になった。
グリッドを中心に据えた1950年代スイスのデザインはスイス・スタイルとはで、警察の顔写真からウォーホル、Instagramまで、升目に並べることが持つ力はグリッドに並べる暴力と説得力で取り上げた。