用語解説

ゲシュタルト心理学

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ゲシュタルト心理学(Gestaltpsychologie)は、1910年代のドイツで生まれた、人は世界を細かな感覚の寄せ集めとしてではなく、最初からまとまりをもった全体として知覚すると考える心理学の学派である。ゲシュタルトはドイツ語で形や形態を意味し、英語ではgestalt psychologyと書く。

出発点とされるのは、1912年にフランクフルトでマックス・ウェルトハイマーが発表した運動視の論文である。二つの光を短い間隔で交互に点滅させると、一つの光が動いたように見える。この見かけの運動を彼はファイ現象と名づけた。動きの印象は、止まった光を一つずつ調べても出てこない。全体は部分の和とは別のものだという学派の主張は、ここから始まる。実験の被験者を務めたヴォルフガング・ケーラーとクルト・コフカが、ウェルトハイマーとともに学派の創始者とされる。

1923年、ウェルトハイマーは、ばらばらの要素がどのような条件でひとまとまりに見えるかを論文にまとめた。近いもの同士、似たもの同士はまとまり、途切れた線は閉じた形として補われ、なめらかにつながる線は一本として読まれる。こうした群化の要因の根にあるのが、知覚はできるかぎり単純で安定した形へ向かうというプレグナンツの法則である。学派の外では、デンマークの心理学者エドガー・ルビンが1915年に図と地の関係を論じ、杯にも二つの横顔にも見える図形を示している。

拠点は1920年代のベルリン大学に置かれたが、ナチス政権の成立前後に主要な研究者が相次いでアメリカへ渡った。ウェルトハイマーは1933年、ケーラーは1935年に移っている。

心理学の主流がほかの理論へ移ったあとも、まとまりの法則はデザインの基本原理として残った。関係のある情報を近くに置き、無関係なものを離すレイアウト、欠けた輪郭から形を想起させるロゴ、図と地が入れ替わるポスターや壁紙、画面の要素を整理するインターフェイス設計の手引きにいたるまで、その考え方は広く使われている。

単純な形へ向かう知覚の決まりはプレグナンツの法則で、図と地を反転させた19世紀の壁紙は壁紙革命のウィリアム・モリスで取り上げた。二通りに見える図形の歴史はネッカーの立方体に詳しい。