用語解説

アール・ヌーヴォー

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アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)は、1890年代から1910年ごろにかけてヨーロッパとアメリカで流行した、植物や昆虫の有機的な曲線を建築、工芸、ポスターに取り入れた装飾の様式である。フランス語で「新しい芸術」を意味し、アールヌーボーとも表記される。

名前は、日本美術を扱っていた画商ジークフリート・ビングが1895年12月にパリで開いた店「ラール・ヌーヴォー」に由来する。国ごとに呼び名は異なり、ドイツでは雑誌『ユーゲント』にちなんでユーゲントシュティール、オーストリアでは分離派にちなんでセツェッシオン様式、イタリアではリバティ様式と呼ばれた。

特徴は、鞭をしならせたような曲線と、建物から家具、照明、食器までを一つの考えで統一する姿勢にある。ブリュッセルではヴィクトール・オルタが1893年にタッセル邸を完成させ、鉄の柱や手すりを植物の茎のようにうねらせた。パリでは1900年に開業した地下鉄の入口を、エクトール・ギマールが鋳鉄とガラスでつくっている。ガラス工芸のエミール・ガレ、宝飾のルネ・ラリック、ポスターのアルフォンス・ミュシャらも、この様式の担い手に数えられる。

背景には、産業革命以降の粗悪な量産品への反発と、手仕事の価値を説いたイギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動がある。ジャポニスムを通じて入ってきた浮世絵からも、輪郭線で区切った平らな色面や、余白を生かす構図を学んだ。

第一次世界大戦のころには過剰な装飾として退けられ、直線と幾何学のアール・デコやモダニズムに道を譲る。1960年代にサイケデリックなポスターがその曲線を引用したことで、ふたたび注目を集めた。

浮世絵の平面性がロートレックやミュシャを経てアール・ヌーヴォーへ流れ込む系譜は浮世絵がフラットデザインを生んだで、その前段にあたる多色石版ポスターの開拓者はジュール・シェレが創った「近代広告ポスター」の革命で取り上げた。